咀嚼(そしゃく)とは、食べ物を噛み砕いて唾液と混ぜ合わせ、やわらかく飲み込みやすい食塊(しょっかい)にすることと定義されます。最近、この咀嚼という行為が、心と体の健康を保ち、元気で長生きすることと大きく関わっていることへの関心が高まっています。
では、
あなたは食事をする時に
自分がどれだけ噛んでから飲み込んでいるか知っていますか?
「よく噛む」って一口何回くらい噛んだらいいのでしょうか?
「噛めなくなった」と感じた時、病気の人の体温や血圧を測るように、咀嚼を測ることはできるのでしょうか?
「噛む力」を鍛えることはできないのでしょうか?
毎日欠かすことなく行う咀嚼ですが、これまで意外なほど無関心に扱われ、見過ごされてきたようです。それは、咀嚼がヒトの運動の中でも最も複雑なものの一つで、とらえることが難しかったせいでもありました。
しかし、超高齢社会に入った今、冒頭で述べたように咀嚼への関心が高まるだけでなく、咀嚼能力を調べることによって健康長寿を考えるためのヒントが見つかる、そんな研究報告が数多く出されるようになりました。そこで必要になるのは、咀嚼を簡単にしかも正確に測ることができる客観的なモノサシです。
咀嚼能力測定用グミゼリーを使って、自分の咀嚼を測り、咀嚼を守り、咀嚼を鍛えることによって、より健康で充実した生活を実現してください。
※嚥下
食物を飲み込むこと。嚥下機能は、口腔—咽頭—食道—胃と続く一連の食物の輸送過程。
※QOL
「quality of life」の略。人々の生活を物質的な面から量的にのみとらえるのではなく、精神的な豊かさや満足度も含めて、質的にとらえる考え方。
※ADL
「activities of daily living」の略。食事、排泄、着脱衣、入浴、移動、寝起きなど、日常の生活を送るために必要な基本動作全てを指す。高齢者の身体活動能力や自立度をはかるための重要な指標。
最近、お口の健康が、全身の健康や生活習慣病に大きく関係していることを示す科学的なデータが報告されつつあります。
厚生労働省が行っている国民健康・栄養調査から、現在歯の数が少ない人ほど炭水化物の摂取量が多く、ミネラル、ビタミン類、食物繊維の摂取量が少ない傾向が認められています。こうした背景から、歯周病などによる歯の喪失と共に生じる咀嚼能力の低下が、食行動の変化を招き、食行動の変化から生じる栄養摂取状態の悪化が、生活習慣病やメタボリックシンドロームを促進するのではないかと推測されています。
歯・口の健康の悪化が放置され、食べる・しゃべるといった機能の低下が進むと「オーラルフレイル」と呼ばれる状態になります。これは、栄養 面・身体面のフレイルを進行させ、加齢性筋肉減少症(サルコペニア)や運動器症候群(ロコモティブシンドローム)の要因となります。オーラルフレイルを予防・改善することによって、全身のフレイルに歯止めをかけることが重要です。
昨今、地域包括ケアシステム※が推進される中で、フレイル予防への動きが活発になってきています。
高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援の体制を包括的に構築、提供しようとするシステム
咀嚼回数を多くすることを心がけるのが大事です。よく噛んで、ゆっくり食べることを習慣づけましょう。食材選びや調理方法も大切です。
しっかりと味わえる食事作りを工夫しましょう。
目的
習慣的に固いグミキャンディを食べることによる口腔機能へのトレーニング効果を調べること。
結論
硬いグミキャンディを習慣的に食べることは、口腔の全体的な咀嚼機能を改善できるトレーニングになる可能性がある。
図1A(左)は試験に用いたハードグミキャンディ。B(右)は咀嚼能率を測定する際に用いた「咀嚼測定グミ」
図2のように、ハードグミキャンディを摂取することで、咀嚼能率が向上していることがわかる。図はトレーニングが経過するごとに、咀嚼測定グミキャンディを30回噛んだ時により細かくなっていくことがわかる。
トレーニング後はトレーニング前よりも咀嚼能率が向上している。
Fujiwara S, Hori K, Shitara S, et al.
Effect of hard gummy candy chewing on masticatory
function. J Oral Rehabil. 2021;00:1–7. https://doi.org/10.1111/joor.13208
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