オートファジー研究所 オートファジー研究所

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オートファジーを活性化する注目の成分
ウロリチンとレスベラトロール

世界中の人が願う、健康長寿や老化防止。そのカギを握っているのがオートファジーです。しかし、オートファジーの機能は加齢によって低下することがわかってきています。オートファジーが正常に機能するためにはどんなことをすればよいのでしょうか。今回はオートファジーの活性化を促す成分や方法についてご紹介します。

オートファジーと老化の関係性とは?

オートファジーとは?
そもそもオートファジーとは何なのか、改めて振り返ってみましょう。

オートファジーは、細胞内を正常な状態に保つために、細胞内の物質を分解する、いわばリサイクル業者のような働きのことで、生命維持に欠かせない細胞がもつシステムのことです。

詳しくは記事1で

なぜオートファジーは低下するの?
なぜ歳をとるとオートファジーの活性が低下するのでしょうか?
歳をとると多くの細胞でルビコンというたんぱく質が増えることが判明したのです。
ルビコンは、オートファジーを低下させる働きがあるタンパク質です。本来は、オートファジーが暴走しないようにするブレーキ役だろうと考えられていますが、これが異常に増えすぎてブレーキが効きすぎると、細胞の機能が低下することが分かってきました。

詳しくは記事2で

オートファジーを活性化するウロリチンA

オートファジーを活性化することができれば、健康長寿に役立ち老化を防止することができると、オートファジーの研究に期待が寄せられました。そしてついに、2016年に医薬品ではなく、だれもが気軽に利用できる食品素材の中からオートファジーを活性化する成分が発見されました。それが、ウロリチンAです。

ウロリチンAとは

ウロリチンAはザクロやベリー、クルミなどのナッツ類に含まれる成分です。ですが実は、ザクロをたくさん食べても、ウロリチンAの恩恵を得られる人は2人に1人くらいと言われています。それは、ウロリチンAは、ザクロに含まれるポリフェノールの一種であるエラグ酸が腸内細菌によって分解されて生じるからで、日本人の2人に1人くらいしかその分解できる腸内細菌を持っていないと言われているからです。

ウロリチンAとオートファジー

ウロリチンAはオートファジーの働きを活性化することによって、線虫の寿命を1.3倍に伸ばすことが発見されました。当時、薬の成分ではなく、日常的に利用できる食品成分でこのような活性が見られることは珍しかったことから、大変注目を集めました。また、ウロリチンAを動物(マウス)に食べさせたところ、加齢により低下した筋力が向上することも確認されました。そして、ヒト由来の細胞でも、ウロリチンAの添加によってオートファジー活性が上昇することも明らかにされています。

ウロリチンAの美容効果

オートファジーを活性化する成分であるウロリチンA美容効果が期待されます。そこで、実際にヒトで12週間摂取し続けた時の肌のハリシミしわに対する効果を確認したところ、それぞれすべての項目で有効であることが確認されました。

オートファジーを活性化するレスベラトロール

オートファジーを活性化する成分が含まれている食べ物を選んで食べることができれば、健康でいつもまでも若々しくいることができるかも知れません。そのためには、様々な食べ物のオートファジー活性を評価しなくてはいけません。

オートファジー活性の評価

細胞のオートファジーの活性はどのように測定するのでしょうか?オートファジーは細胞内の古くなったり壊れたりしたものを分解することですが、第一段階として、それらを膜で包み込みます。その膜の袋をオートファゴソームといいます。次に、オートファゴソームが分解酵素を含むリソソームが合体したオートリソソームという袋内で分解が進みます。

このオートファゴソームの数を測ってもオートファジーの活性を測ることになるかも知れませんが、実際にオートファゴソームが作られ、オートリソソームによる分解まで一連の流れとして進んでいる様子を測定することが、より正確にオートファジー活性を測定することになります。

実際のオートファジー活性測定の様子

UHA味覚糖では、オートファジーの流れが動きだすと赤く光るように見える細胞を使って、約120種類の食品成分を細胞に添加して、その反応を調べたところ、最もオートファジー活性を上昇させる成分として、レスベラトロールという食品成分を選び出すことに成功しました。

<細胞のオートファジーが活性化されて赤く光っている様子(青色は細胞核)>

レスベラトロールとは

赤ワインやブドウなどに含まれるポリフェノールの1種で、抗酸化作用があるとされています。フレンチパラドックスとして知られる、フランス人の赤ワイン摂取と心臓病の発症率の低さが関連付けられていますが、レスベラトロールはその一因ではないかと考えられています。レスベラトロールにはわずかな化学構造の違いで、トランス体とシス体という2つの形があります。天然の植物にはトランス体が多く含まれており、シス体は安定性が低く、生体内で効果を発揮しないなどその性質は異なります。健康食品などにはトランス型のレスベラトロールが利用されます。

ウロリチンAとレスベラトロールとの相乗作用

ひとつの食べ物ばかり食べるより、いろいろな食品を組み合わせて食べる方が良い結果が得られます。例えば、「生姜とレモン」の組み合わせがあります。生姜もレモンも体に良いとされていますが、これらを組み合わせた「生姜レモン湯」を飲むことで、風邪予防や体調不良改善の効果が期待できるようになります。このように食品の機能性を組み合わせることで、相乗的に機能を強化することを「機能性フードペアリング」といいます。
そこで、この「機能性フードペアリング」の考え方を参考にして、UHA味覚糖では、オートファジー活性があるウロリチンAとレスベラトロールを併せて働かせた時に、オートファジー活性がどのようになるかを測定したところ、それぞれ単独で働かせた時の合計値(理論値)より併せて働かせた方がよりオートファジー活性が高まる(実測値)という、相乗効果を見付けました。

オートファジーを暮らしに取り入れる

オートファジーを活性化する成分をいくら取り入れても、生活習慣が整っていなければ意味がありません。それは、生活習慣によってもオートファジーが活性化したり、低下したりする可能性があるからです。

オートファジーを高める生活習慣

・適度な運動をする
適度な運動をするとオートファジーが活性化することが知られています。中でもウォーキングなどの有酸素運動は、より効果があるといわれています。

・高脂肪食は控える
高脂肪な食事をすると肝臓のオートファジーが低下するので、そういった食事は避けた方が良さそうです。

・腹八分目を心がける
カロリー制限によりオートファジーの活性化を介した寿命延長が起こることが知られているので、腹八分目の食事もオススメです。

・満腹状態で眠らない
夜間の睡眠時にオートファジーが活性化するので、夜はしっかり眠ることも大切です。栄養をとると一時的にオートファジーは抑制されるので、満腹状態で眠るのを避けるために、早めに夕食をとりましょう。

詳しくは記事1で

まとめ

オートファジーの働きは、生活習慣や食生活に影響を受けるということが、少しずつ分かってきました。オートファジーを高めることを意識して、生活習慣を見直したり、食生活を見直したりしてみましょう。しかし、まだまだどのような食品にオートファジー活性を高める作用があるのか?そのすべてが明らかにされた訳ではありません。毎日の食事のバランスを大切にしながら、オートファジー活性を高める成分を含むサプリメントなどを利用することも、オートファジーを意識した生活を続けることに役立つと思われます。