オートファジーの効果とは?
オートファジーは、どのような効果をもたらしてくれるのでしょうか?
それは、人生を豊かに暮らすために欠かせない、誰しもが願うもの。
●健康長寿
●老化防止(アンチエイジング)
●免疫力の向上
これらにオートファジーがどのように働きかけるのかを詳しく見ていきましょう。
長寿は、昔から人類共通の願いです。しかし、老化や寿命の研究が急速に進んだのは、この 30 年くらいのことでしょう。
きっかけとなったのは、1980 年代、線虫の寿命に関する研究です。それは、線虫がもつ一つの遺伝子を変えるだけで、2~3週間ほどの寿命が約2倍になるという報告でした。これにより、寿命もプログラムされていることがわかり、これまで “ なんとなく老いていく ” とされていた老化や寿命に対して、「寿命は制御できるもの」「長寿は研究対象になり得るもの」と、認識が変わっていったのです。
その後、寿命を延ばすメカニズムがいくつも報告されるようになると、次はそれぞれのメカニズムの共通項探しが始まりました。その共通項の一つが、オートファジーの活性化です。
そうした研究が進む中で、歳をとるとオートファジーの働きが鈍ってくることもわかってきました。
さて、加齢性疾患といわれるように、歳をとるとさまざまな病気になりやすくなります。加齢性疾患の例としては、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患や加齢黄斑変性、加齢性の腎臓病、骨粗鬆症などがあります。これらの病気の一部は、オートファジーの低下が原因で起こっていたり、病状が悪化していたりする可能性があります。
オートファジーを低下しないようにしたマウスの実験では、実際に加齢性疾患にかかりにくいという結果が出ています。加齢による活動低下、パーキンソン病、腎臓病、黄斑変性、骨粗鬆症が、オートファジーを活性化することで抑制されたのです。
長寿は、昔から人類共通の願いです。しかし、老化や寿命の研究が急速に進んだのは、この 30 年くらいのことでしょう。
きっかけとなったのは、1980 年代、線虫の寿命に関する研究です。それは、線虫がもつ一つの遺伝子を変えるだけで、2~3週間ほどの寿命が約2倍になるという報告でした。
これにより、寿命もプログラムされていることがわかり、これまで “ なんとなく老いていく ” とされていた老化や寿命に対して、「寿命は制御できるもの」「長寿は研究対象になり得るもの」と、認識が変わっていったのです。
その後、寿命を延ばすメカニズムがいくつも報告されるようになると、次はそれぞれのメカニズムの共通項探しが始まりました。その共通項の一つが、オートファジーの活性化です。
そうした研究が進む中で、歳をとるとオートファジーの働きが鈍ってくることもわかってきました。
さて、加齢性疾患といわれるように、歳をとるとさまざまな病気になりやすくなります。加齢性疾患の例としては、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患や加齢黄斑変性、加齢性の腎臓病、骨粗鬆症などがあります。これらの病気の一部は、オートファジーの低下が原因で起こっていたり、病状が悪化していたりする可能性があります。
オートファジーを低下しないようにしたマウスの実験では、実際に加齢性疾患にかかりにくいという結果が出ています。加齢による活動低下、パーキンソン病、腎臓病、黄斑変性、骨粗鬆症が、オートファジーを活性化することで抑制されたのです。
人生 100 年といわれるようになった今、高齢になってから自立した生活を維持するためにアンチエイジングに興味をもつ人も多くいるでしょう。
ここまで述べてきた通り、健康寿命を延ばすためには、細胞の機能に注目することが非常に重要です。しかし、細胞の機能を低下させる外部刺激は、紫外線や汚染物質、ストレス、食生活の乱れ、ウイルスなど、私たちの周りにあふれています。また、40 歳を超えると、肌のシミやしわ、白髪などの見た目に加えて、食べすぎていないのに太ってきたり、階段で息が上がったりと、美容・健康の悩みが一気に表れます。
こういった外部刺激や不具合の一つひとつにサプリメントや化粧品で個別に対処するのが、従来のアンチエイジングの方法です。しかし、このような対処療法的なケアでは、外部刺激を完全に排除することは難しく、機能が低下した細胞は依然として残ったままで、本質的な改善にはなりません。
「肌のアンチエイジング治療には限界がある」といわれているのは、細胞に栄養を与えても、機能が低下した細胞は元に戻らないからなのです。
しかし、細胞のトータルケアを行うことで、新たなアンチエイジングへのアプローチができる可能性が生まれてきました。
オートファジーは、細胞内の入れ替えと有害物除去と飢餓時の栄養確保という3つの作用を通して細胞の健康を守っています。
特に有害物除去という機能の発見は、オートファジーの定義を書き換えただけでなく、新しい免疫システムという点でも注目を集めています。
生き物は体内に侵入してきた細菌などの有害物、いわば敵を排除する仕組みをもっています。それが従来から知られている免疫システムで、自然免疫と獲得免疫があります。自然免疫には、敵が血液などの体内に侵入するとマクロファージという細胞がそれらを食べてしまう仕組みがあります。しかし、敵が各種の細胞の中にまで入り込むとマクロファージは何もできません。以前はそうなるとなすすべがないと思われていました。ところが、オートファゴソームには細胞内で敵を捕捉して分解する能力があることがわかりました。
つまり、生き物はどの細胞も免疫細胞の助けを借りずに有害物を排除できるという、これまで知られていたよりも広範な免疫システムをもっていたのです。
一方、獲得免疫とは、特定の敵の情報を長期にわたって記憶でき、敵に対する特異性が高いという特徴をもっています。この特徴は、B 細胞や T 細胞が連動して働くことにより機能することが知られています。B 細胞は、特定の敵にだけ結合する抗体と呼ばれるタンパク質を分泌し、それを使って敵を攻撃します。また、キラー T 細胞は特定の敵が感染した細胞を攻撃し、感染細胞ごと排除します。これらの B細胞や T細胞の機能維持にもオートファジーは働いており、さまざまな点で免疫力全体にオートファジーは極めて重要です。
POINT
オートファジーの研究が進むことで、寿命や老化を「どうにもならない」から「なんとかなる」に変えることができたんだね。すごい!